2026-02-26
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商品の「顔」を作る。パッケージ撮影という、0.1ミリの職人世界
スーパーの棚に並ぶ、色鮮やかなお惣菜や、食欲をそそるレトルト食品のパッケージ。
手に取った瞬間、「おいしそう!」と直感的に感じるその一枚の写真には、実はフードコーディネーターの執念とも言えるこだわりが凝縮されています。
今回は、商品の「顔」を作る、パッケージ撮影のお仕事の裏側をお話しします。
1. 嘘をつかずに「最大級の魅力」を引き出す
パッケージ撮影において最も大切なルールは、「実際の商品とかけ離れすぎないこと」です。
具材を盛りすぎたり、入っていない材料を足したりすることはできません。
決められたルールの中で、いかに「素材の良さ」を最大限に引き出すか。
数ある具材の中から、色・形・ツヤが完璧なものを選び抜く「オーディション」から、私たちの仕事は始まります。
2. 0.1ミリ単位で動かす「ピンセット」の魔法
パッケージの写真は、消費者がじっくりと見つめるものです。
そのため、盛り付けは通常の料理よりもはるかに精密さが求められます。
- ソースの垂れ方は、どの角度が一番おいしそうか?
- お肉の焼き目は、この位置でいいか?
- ハーブの一枚、胡椒の一粒まで、ピンセットで0.1ミリ単位の調整を繰り返します。
カメラマンさんとモニターを睨み合い、「あと右に1ミリ」「もう少し高さを出して」と、納得がいくまで、気が遠くなるような微調整を続けるのです。
3. 「シズル感」を科学する
「おいしそう!」の正体である「シズル感」。
パッケージ撮影では、その一瞬を固定するために、科学的な視点も必要です。
- 時間が経っても乾かないようにオイルでツヤを足す
- 湯気が一番美しく立ち上がる温度を見極める
- 野菜のシャキッとした質感を保つために、直前まで氷水で締める
すべては、お客様が手に取ったときに「今日のごはんはこれにしよう!」と決める、その一瞬のときめきを作るためです。
後日、店頭で自分が携わったパッケージを見かけると、まるで我が子に再会したような、誇らしい気持ちになります。
デザインの一部として、商品の命を吹き込む。
そんなパッケージ撮影の世界、少しだけ覗いていただけたでしょうか?


